どこかで役に立つかも?18の「スパングリッシュ」をご紹介
「サラリーマン」や「ブラインドタッチ」など、英語のようで実は日本人にしか通じない和製英語、いわゆる「ジャングリッシュ(Japanese+English=Janglish)」というものがあります。「ミスる」、「ダブる」、「サボる」といった動詞化した外来語も、普段の会話でなにげなく使ってしまうものです。こんなことをするのは、日本人だけ…というわけではありません。
ヒスパニック人口が多いアメリカで特に有名なのが、「スパングリッシュ(Spanish+English=Spanglish)」です。どちらのネイティブであるかに関わらず若い世代に好んで使われ、英語やスペイン語の同等の言葉よりも思いやニュアンスがストレートに伝わりやすいようです。
代表的なものを、その使い方とともにご紹介しましょう。
1. Chequear(チェケアール)
「チェックする」。英語のcheckから来ています。Chequearは汎用性が高く、「verificar(確認する)」、「revisar(見直す)」、「comprobar(調べる)」といったさまざまな意味で使えます。日本語の「チェックする」と似ていますね。スパングリッシュでは、英単語の後ろに「ar」を付けて動詞として使うことが多いようです。
2. Clickear(クリッケアール)
「クリックする」。英語のclickから来ています。本来の動詞である「pinchar(つまむ)」や「apretar(押す)」の代わりに使われ、「hacer clic(クリック+する)」という半分スパングリッシュな言い回しもあります。Clickearは、そのバリエーション豊かな活用形も含め、アプリなどコンピューター関連の製品やサービスの広告でよく見かけます。
3. Full(フル)
「lleno(いっぱい)」、「completo(完全な)」、「al máximo(最大限)」など、さまざまなニュアンスで使える便利な言葉です。たとえば、「¡Estoy a full!」は、「絶好調!」という意味で使います。
4. Googlear(グーグレアール)
日本語でもおなじみの、「ググる」。固有名詞は動詞化されやすいようです。「Buscar en Google(Googleで検索する)」よりも、短くて言いやすそうですからね。
5. Hamburguer(アンブルゲル)
「ハンバーガー」のこと。もともとは「ハンブルクの」という意味のドイツ語で、スペイン語にも「hamburguesa」という語がありますが、なぜか英語の「hamburger」に近い形に戻ってしまいました。
6. Heavy(エビー)
物理的な「重い」ではなく、食べ物や飲み物の豊かさ、空気などの重さや強さの意味で使われます。たとえば、人に対して「pesado(重い、しつこい)」、「fuerte(濃い、強烈)」と言うなら、「¡Ay, que heavy!」となります。日本語でも同じような使い方をしますね。
7. Janguear(ハンゲアール)
「ぶらぶらする」。英語のhang outから作られました。スペイン語では「J」がハ行の発音なので、「H」ではなく「J」で始まります。以前は「pasando el rato(時間をつぶす)」という言い回しが使われていましたが、ここ最近、ニューヨークの若い人たちの間では「van a janguear(ちょっと出かける)」が使われています。
8. Linkear(リンケアール)
「リンクする」。IT用語として「hacer un enlace(リンクを設定する)」の代わりに使われていますが、SNSで友達とつながるときも「linkéanos(友達になる)」のように使います。
9. Liquiar(リキアール)
「水漏れする」。英語で水漏れを意味するleakから来ています。スペイン語には、水漏れを意味する「gotear(水滴がポタポタたれる)」と「fugarse(水が漏れ出す)」という2つの動詞がありますが、水道工事の人に「el grifo está liquiando(蛇口から水漏れしてるんです)」と言う方がイケているということでしょうか。
10. Machar/machear(マチャール/マチェアール)
「組み合わせる」。英語のmatchから来ています。「combinar」というれっきとしたスペイン語もありますが、コーディネートするときなどは「machar(またはmachear)」の方がピンとくるようです。
11. Mandar un mail(マンダール・ウン・メール)
「メールを送信する」。スペイン語にすると「mandar un correo electrónico(電子メールを送る)」と長くなるので、スパングリッシュではmailをそのまま使います。
12. Mandar un inbox(マンダール・ウン・インボックス)
「Facebookメッセージを送る」。Facebookでダイレクトメッセージを送るときに、「mandando un mensaje(メッセージを送る)」の代わりに使います。ちなみに、英語でもFacebookの友達リクエストに「friending」という言葉が使われるようになり、これを言葉の「進化」と捉えるか「乱れ」と捉えるかは、世代によって見解が異なりそうです。
13. Mouse(マウス)
コンピューターのマウスのこと。英語をそのまま使っています。日本語でもマウスを「ネズミ」と呼ばないように、スペイン語圏の人たちも「ratón(ネズミ)」ではなく「el mouse」と呼びます。
14. Parquear(パルケアール)
「駐車する」。英語のparkから来ています。ここから派生した「parqueadero(駐車場)」もよく使われます。本来のスペイン語では、駐車場の標識は「estacionamiento(駐車場)」の頭文字の「E」なのですが、一部のスペイン語圏では「parqueadero」の「P」もよく見かけます。
15. Roofo/rufo(ルーフォ、ルフォ)
英語のroofから来た語です。家の屋根のことでしょうか? ヒップホップの人たちがよく言う「Roof is on fire」や「Raise the roof」(どちらも「盛り上がろうぜ!」の意味)のroofでしょうか? 熱いトタン屋根の猫(有名な映画のタイトルが元になった、ソワソワ落ち着かないという意味の慣用表現)のroofでしょうか? これらすべて、スペイン語では「techo」と言います。 しかしスパングリッシュでは、「roofo(またはrufo)」と言うのです。
16. Shopping(ショッピング)
ショッピングモールのことです。「centro commercial(商業センター)」よりも今風の言い回しですね。おもしろいことに、なぜか「mall」の部分が欠落して、「shopping」だけが残りました。
17. Show(ショウ)
英語のshowから来た語です。元々スペイン語では、「espectáculos(見世物)」、「conciertos(コンサート)」、「obras(作品)」、「recitales(リサイタル)」など、種類によってさまざまに使い分けられていました。最近では、どの場合も「show」で通じます。
18. Top(トップ)
英語のtopから来た語です。「lo mejor(最上)」の代わりに「lo top」を使います。
言葉は生き物です。話す人たちや伝えたいことに応じて絶えず進化しています。日本に入ってきた外国語がカタカナ語として取り入れられていったように、異なる言語が交わる場所では、こんなにも活き活きとしたハイブリッド言語が生み出されるのですね。
[編集メモ:この記事は、2017年1月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。リー・デンズマー による元の記事はこちらからご覧いただけます。] [編集: MLS] [o/o-i]