ゲームローカリゼーションに必要な4つの戦略
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ゲームローカリゼーションに必要な4つの戦略

ゲームローカリゼーションに必要な4つの戦略

ゲームローカリゼーションに必要な4つの戦略

ゲームは今や世界中の人々の心をとらえています。そんななか、市場をさらに拡大し、どの国のプレイヤーにもストレスなく楽しんでもらいたいと望むのであれば、ゲームメーカーはそれぞれの市場に合わせてゲームをカスタマイズしなければなりません。とはいえ、ゲームローカリゼーションのプロセスは複雑です。コードからテキストを抜き出し、口語表現やスラング、ジョークを翻訳し、ローカライズ版のゲームを構築した後は、違和感なくプレイできるかテストすることが求められます。なによりもまず必要なのは、ローカライズする言語とロケールを決める戦略です。これがはまれば、そのゲームは市場で一気に注目を集めることになるでしょう。NSI, Inc.のAndy Johnson(アンディ・ジョンソン)氏が、自身の経験をもとに、スムーズかつ効果的に戦略をたてる方法をアドバイスします。

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ウォーターフォール型の開発を避ける

かつて、まだゲームがモバイルではなく、情報の受け手であるユーザーものんびりしていた頃、開発者はたっぷりと時間をかけてゲームを構築し、年に一度ないしそれ以下の頻度でゲームをリリースしていました。この頃は、直線的なウォーターフォール型のプロジェクト管理が理にかなっており、ローカリゼーションはゲームが完成してから行われていました。しかし今は、ユーザーは何でもすぐに手に入ることを求め、手に入れてからもアップデートされるのが当たり前になっています。

ソフトウェア開発と同様に、ゲーム開発やローカリゼーションもアジャイルに移行し、バグ修正や機能拡張のためのリリースサイクルが短くなってきています。業種や業界を問わず、アジャイルモデルを採用することで、開発のピークや閑散期というものがなくなります。コンスタントに作業が発生し、納期に追われることもなくなります。ローカリゼーションの観点では、コンテンツの翻訳が常に一定量発生するので、アップデート時には同じ翻訳者や言語テスターが作業を担当できます。つまり、スタイルやトーンに一貫性を保つことができるのです。

データにもとづいて判断する

データ分析の重要性について、Johnson氏は次のようにまとめています。

  「以前は、ローカリゼーションの予算を決める際、どの言語にローカライズするかと問われれば、誰もが判で押したように『EFIGS(英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語)』と答えていました。当然のようにこの5つがローカライズされるべき言語とされていたのです。しかし今、我々にはデータがあります。データを分析することで、ユーザーがどの国で、どの言語でプレイしているかがわかり、行動パターンも把握できます」

かつて在籍していたZ2で『Battle Nations』のローカリゼーションを手がけたJohnson氏は、まずさまざまな国におけるユーザー層について調査しました。ロシアに多数のプレイヤーがいることを確認すると、Johnson氏はロシア語へのローカリゼーションにかかるコストを試算。その際、いくつものシナリオを思い描き、ローカリゼーションによって増やせるプレイヤー数や収益にもとづいて、どのくらいの期間でコストを回収できるかをはじき出しました。こうした予測を元に、現実的なシナリオを選択。Z2は3か月でROIを達成できると考え、そして実現したのです。

また、Johnson氏は「プレイヤーの顧客生涯価値を見抜くことも重要です」と言います。「単に参入する市場の標準的なGDPモデルを当てにせず、表面からは見えにくい部分も考慮するべきでしょう」。たとえば、経済成長著しい中国市場向けのローカライズは魅力的に思えるかもしれません。しかし、中国のプレイヤーは、日本のプレイヤーと比べるとゲームに費やす時間が短くなっていく傾向にあります。本当に投資に値するかを見極めるには、プレイヤーの生涯価値と人数を掛け合わせてみる必要があるということです。他にも、好意的なユーザーレビューやSNSでのシェアの数、サイコグラフィックス(心理的属性)、当該ロケールの競合状況などにも注目してみましょう。

とことんプレイヤーを中心に考える

Johnson氏が提言するローカリゼーション戦略その3は、ゲーム全体を通じて、プレイヤーの行動とエクスペリエンスに気を配るということです。プレイヤーがどうゲームに向き合っているか、どのように交流しているかを知れば、開発者はプレイヤーが望んでいるとおりのアップデートや機能強化を設計することができます。ゲームの開発やローカリゼーションがアジャイルかつ反復的に行われるからこそ、プレイヤーの今の行動に合わせた小さな変更にも対応できるのです。

プレイヤーの動向を知るには、ソーシャルチャネルのモニタリングが有効です。企業がコミュニティフォーラムのモデレーションを行ったり、ソーシャルメディアでブランド認知をモニタリングしたりするのと同じで、顧客と直接つながることですみやかに問題を解決し、より喜ばれるものを提供できるようになります。

ローカライズではなく、カルチャライズする

Johnson氏は、ゲームローカリゼーションの特異性を表す言葉として、「カルチャライズ」を使います。カルチャライズとは、新たなロケールのユーザー層向けにゲームを適応させるプロセスのこと。マーケティングコンテンツと同様に、ゲームは多くの場合、制作された国の文化を背景に作られています。それがローカライズで苦労する所以であり、単に言葉を翻訳するのとはわけが違うところです。

なかには、そもそもローカライズするべきではないゲームも存在します。取り上げる内容やテーマ、文化的なメッセージが、その地域には適さないこともあるのです。また、ローカライズするにしても、改変が必要なこともあります。たとえば、背景(元の言語の言葉が書かれたポスターなど)や、特定の文化圏にしかないもの、キャラクターの服装などが考えられます。過激な言葉を和らげたり、プレイヤーにとって馴染みのあるスラングに置き換えたりなど、会話の内容自体が変わってくることもあるのです。

最後に、ローカリゼーションのタイミングが成否を分けることもあります。Johnson氏が売上の拡大につながると踏んだロシア語版のゲームは、新規プレイヤーをたくさん獲得する一方で、古くからこのゲームをプレイしてきたユーザーには不評でした。これは、ロシア語へのローカライズがリリースの2年後だったため、古参のファンはキャラクターの話す英語や声に慣れてしまい、ロシア語版に違和感を抱いたからです。Z2はロシア語版で獲得した新しいプレイヤーから売上を拡大しましたが、もっと早くローカライズしていれば、英語版をプレイしていた古参のファンの期待にも応えられていたかもしれません。長い間ブランドのファンでいてくれる人たちを幸せにすることに、価値があるということです。

 

この記事ではゲームローカリゼーションについてまとめましたが、Globally Speakingのポッドキャストには、マーケティングコンテンツや製品のローカリゼーションにも応用できるヒントが数多く含まれています。Johnson氏の戦略を取り入れることで、誰もがローカリゼーションというゲームに見事勝利できるでしょう。


[編集メモ:この記事は、2017年12月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。ジル・ポラニシア による元の記事はこちらからご覧いただけます。]  [編集: MLS] [o/i]

 

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