外せない市場、イラン
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外せない市場、イラン

外せない市場、イラン

外せない市場、イラン

2016年初頭、国際社会が課した制裁の一部が解かれたとき、グローバル企業が参入を視野に入れる新規市場のひとつとしてイランは絶大な存在感を示すようになりました。中東において屈指の影響力を誇る経済国でありながら、この数年間は誰もこの国に手を伸ばすことができずにいたのです。

イランでのビジネスには何が必要なのか、急速に都市化が進むこの国に足を踏み入れるとき、どのようなことに注意を払うべきなのかを見ていきましょう。

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米国との力関係は不透明

イランに対する米国の経済制裁は未だ残っており、ビジネスにとっては先の見えない状況が続いています。たとえば、AppleやGoogleはイラン語のアプリをストアから取り除くことを強いられました。こうした措置に対してBloombergは、多様性を受け入れることこそがより良い経済政策であると異議を唱えました。

米国の制裁によって欧州の金融機関はイランと関わることに慎重になったのに対して、最近になって中国がイランに100億ドルのクレジットラインを設定しました。これはまさに、8000万の人口を抱える資源豊かなこの国のポテンシャルを示しています。現時点でイランとビジネスをしていないのであれば、準備を始めておいてソンはありません。

どのような分野に可能性があるのでしょうか?

自動車産業は海外勢が優位

2015年のRoland-Bergerの研究によると、輸入車の方が品質が良いという認識から、イランの人々は国産よりも輸入車を明確に好むようです(以下のグラフを参照)。しかし、高額な関税のため、国産車と平等に競うことができません。

それでも、トヨタ自動車などの一部のメーカーは、高い関税がかからないハイブリッド車で迅速な参入を果たし、米国による禁輸措置をものともしない中国企業は、地元の企業と手を結ぶことで商機を見出しているのです。

調査結果:イラン人は輸入品が好き

小売業のビジネスチャンスは目の前に

日用品(FMCG)を手に入れられるのは昔ながらの家族経営の店が主で、欧米ブランドに対する消費者の強いニーズは満たされていない状況です。日用品メーカーがイランに進出するにあたっての難しさには、以下のようなことが挙げられます。

  • 消費者が地方に散らばっていることによる、高い流通コストへの懸念
  • 店舗の規模。小さい店舗では、棚割で他のブランドと競わなければならず、商品を効果的に陳列するのも店主任せとなる。ブランド認知や購買意欲を喚起する機会は限られ、プロモーションも難航する
  • イランの消費者は店主のおすすめを選ぶ傾向がある。その「おすすめ」は、店主へのマージンや支払い条件によって決まる

イランの消費者がより多くの選択肢を求めていることは明らかです。現在、300以上ものショッピングセンターが建設中で、イランの人々に最新の商品やサービスを提供するための基盤が作られています。

食品・飲料業界では地元企業が有利

食品・飲料の分野においても商機はあるものの、輸入税があるため、やはりイランの企業に分があります。とりわけ乳製品、加工食品、菓子類、油脂製品などの日々消費する食品を、できるだけ安く買いたいと消費者が考えるのは当然です。

それでも、消費者の志向に変化が起きていることで、ものによってはチャンスはあるかもしれません。たとえば、高まる健康志向のおかげで、炭酸飲料の代わりにフレッシュジュースを選んで飲む人が増えています。家ではお酒をジュースで割って飲むのが一般的なようです。

ペットボトルの水の需要も伸びが見込まれます。なぜなら、イラン政府は飲用水の品質にあまり投資を行なっていないからです。ミニサイズのボトルが人気を集めているようですが、現在、豊富なサイズ展開をしているのは国内1社のみ。この企業が1.5L、500ml、296ml、250mlのボトルで提供しているのに対し、他の企業は1.5Lと500mlの2種類のみで提供しています。

乳製品分野では、ダノンは善戦しており、ネスレも十分な存在感を示していますが、やはり国産メーカーを打ち負かすのは困難です。国産メーカーの業績は好調で、ロシアをはじめとする海外市場にも目を向け始めています。

ファッショニスタが集まるEC市場が狙い目

TechCrunchによると、およそ39%のイラン人が少なくとも1か月に1回はオンラインで買い物をし、約11%は毎週オンラインで買い物をします。買い物のほとんどを占めるのは衣料品です。イラン人の約半分はスマートフォンを所有していないということを考えても、また、毎週何かしらをオンラインで購入するアメリカ人はたった15%というPew Research Centerのデータと比較しても、とても魅力的な市場であることは明らかです。

ModisehDigikalaのようなローカルのECスタートアップ企業は、スタイルに敏感なイランの人々のファッションに対するこうした需要に応えることで利益を上げています。現在イランで最も人気のあるスタイルアイコンたちは、ヨーロッパ中心の価値観をはねのけ、独自のニッチ市場を作り出しているのです。また、多くのイラン人女性がファッションのスタートアップ企業を立ち上げ、オリジナルのデザインをInstagram(Facebookと違い、イランで禁止されていない)で発信しています。

ファッション好きなイランの人々は、控えめな服装で髪を隠すことを求めるイスラム法とうまく折り合いをつける方法を心得ています。高級ブランドを購入して、欧米風のデザインをより控えめなものにリメイクするのはよくあることです。中には、チャドルと呼ばれるゆったりとした長い上着を、ファッショナブルなアウターへと変身させたデザイナーもいます。

テクノロジー製品はローカライズが必要

2000年代のはじめには、ペルシア語へのローカライズ件数はごく限られていました。また、ローカライズされた製品はいずれも、何かしらの問題を抱えていたものです(問題の多くは、アラビア語対応のツールをペルシャ語のローカライズに使ったことによるもの)。その結果、ペルシア語圏のユーザーはローカライズ製品を避けるようになってしまいました。2010年頃を境に、この状況に変化が見え始めます。Google、Microsoft、Nokiaといった大企業がペルシア語への大規模なローカライズを展開したことにより、用語集、スタイルガイド、ツール、ノウハウが劇的に充実していったのです。

詳しくは、『イランでのビジネス展開を考えるなら押さえておきたい5つのこと』を参照

今では、ペルシア語圏のユーザーはローカライズされた製品やウェブページ、ソフトウェアを好んで選ぶようになりました。英語が得意な若い世代にも、ペルシア語バージョンが支持されています。

世界17位の経済規模を誇るイランには数多くのビジネスチャンスがあります。しかし、海外の投資家は複雑に入り組んだ規制上の要件、市場環境、購買傾向、そしてイランの政治、文化の状況を読み取り、巧みに進む心構えをしておくべきでしょう。


 [編集メモ:この記事は、2017年10月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。ヴィジャヤラクシュミ・へグデよる元の記事はこちらからご覧いただけます。] [編集: MLS] [o/i]

 

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