MTPEを導入する前にやっておくべきこと

MTPEを導入する前にやっておくべきこと

MTPEを導入する前にやっておくべきこと

MTPEを導入する前にやっておくべきこと

近年の機械翻訳技術の目覚ましい進歩に伴い、翻訳会社へのMTPE(機械翻訳+ポストエディット)に関する問い合わせが急増しています。爆発的に増えるコンテンツを効率よくローカライズするための救世主とも位置付けられる機械翻訳ですが、残念ながらそのまま世に出すにはリスクが大きすぎるのが実情。したがって、機械翻訳されたテキストをポストエディットという編集作業によって「人の手による翻訳と同等レベル」にまで引き上げてから配信するのが現実的なソリューションとされています。そこで気を付けたいのが、クライアントと翻訳会社の間で、MTエンジンの所有権に始まり、サービスレベルがFull MTPEなのかLight MTPEなのかなど、細かく取り決めをしないと後で問題が起きる可能性があるということです。

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Light MTPEとは

ポストエディットとは人の手でMTからの出力を理解・使用可能なものに編集するプロセスです。ポストエディタは、誤訳や専門用語の間違いなどの明白なエラーを修正することに専念します。このプロセスは通常の翻訳作業よりも簡素化されているので、やり方次第では翻訳の約十倍の速さで「使える」レベルのテキストを得ることができます。

Light MTPEの作業は以下のとおりです。

  • 顕著なタイプミス、単語、文法上の誤りのみを修正する
  • 読み手を混乱させる文章の一部または全部を書き直す
  • MTによって生成された不要なまたは余分な翻訳選択肢を削除する
  • 重要な用語を一貫させるが、詳細な用語チェックはしない

翻訳されたテキストは、原文の意味を正しく伝える必要がありますが、原文のコンセプト、メッセージが翻訳に含まれている限り、原文と訳文の間に1対1の関係は必要としません。

Full MTPEとは

一方、Full MT Post-Editingは、人間並みの翻訳品質を生成するためのものです。こちらの目標は、文体が適切で、言語的に正しい、優れた翻訳者が作業するものと同等の品質水準を得ることです。このレベルの品質を実現するには、通常の翻訳時に実施するQAチェックを伴うプロセスが必要です。この場合、翻訳者が処理できるキャパは1日あたり5,000〜8,000単語と考えられています。

Full MTPEでは、先に触れたLight MTPEの内容に加えて下記の内容が関わってきます。

  • 用語を、承認された用語集と照合し、一貫性があり適切であることを確認する
  • 他の資料との相互参照を行う
  • ターゲット言語のルールに従って構文的な変更を行う
  • 一貫した流暢なコンテンツを制作する
  • イディオム、例文などすべての文化的参照と適合させる
  • 原文と訳文の間に完全な忠実性を確保する
  • 正しい書式設定とタグ付けを適用する
  • すべての文法上の誤り、誤字、句読点の誤り、スペルミスを訂正する

Full MTPEにより得られた訳文は、すべての面において人間の翻訳と同等でなければなりません。したがって、コンテンツは、人間の翻訳のためにクライアントによって定義された品質基準を満たさなければならないのです。

これは、リストアップしたすべての要素が完全にそろわない限り難しいことです。場合によっては、MTの内容を捨てて、翻訳者がゼロから翻訳した方が早い・・・などということもあります。

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Common Sense Advisory (CSA)により図式化されたLight MTPEとFull MTPEの関係

 

グレーゾーンは残っていないか

MTPEを導入することは、単にFullかLightかのレベルのどちらか1つを選ぶだけの簡単なことではありません。例えば、Full MTPEレベルの完成度と品質を、Light MTPEレベルの予算とスピード感で求めるクライアントもあることでしょう。こんなボタンの掛け違いがあったままプロジェクトを進めると大変なことになります。クライアントと翻訳会社は、価格対期待値のミスマッチが後に露呈しないよう、MTPEの作業内容と効果を事前に明確化しておくことが重要です。

望んでいる品質レベルが何であれ、それを達成するための労力はプロジェクトごと、クライアントごと、言語ごとに大きく異なる可能性があります。したがって、機械翻訳とポストエディットが翻訳プロセスの一部であるかどうかにかかわらず、品質レベル、スループット、および期待値は慎重に定義しましょう。

疑問点を残したままプロジェクトをスタートさせないこと。これが大事です。


[編集メモ:この記事は、2014年8月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。リー・デンズマー による元の記事はこちらからご覧いただけます。]  [i/i]

 

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