インドネシア市場におけるマーケティング:キーワードは多様性とスピード
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インドネシア市場におけるマーケティング:キーワードは多様性とスピード

インドネシア市場におけるマーケティング:キーワードは多様性とスピード

Jakarta City

1万3,466もの島々、700以上の言語と方言、300を超える民族から成るインドネシア。この多様性が、この国におけるマーケティングの難しさを物語っています。

強力な物流ネットワークを持ち、テレビ広告を流しさえすれば成功が約束されていた時代は過ぎ、現在のインドネシア市場は大きく様変わりしています。今、人々がブランドに求めるのは、個別化されたコミュニケーションであり、双方向のつながりです。インドネシアは世界のなかでもソーシャルメディアの活用が盛んな国で、ブランドの熱狂的なファンが影響力を持つことも少なくありません。Millward Brownのレポートによれば、好きなブランドを家族や友人にすすめたいというユーザーは全体の29%に達しています。消費者と良好な関係を築くことは、インドネシアにおいて死活問題であると言えるのです。

破竹の勢いのECスタートアップ

インドネシアのEC市場は2020年までに1,300億ドルに到達し、中国とインドに続く第3位の規模になると見込まれています。この急成長の背景には、インターネットトラフィックの70%以上がモバイルデバイスからのアクセスという、モバイルファーストが進んだ国であるということがあります。

そんななか、ECスタートアップが次々と誕生し、巨額の資金調達に成功しています。最近ではaCommerceやHappyFreshがそれぞれ1,000万ドルを超える資金を調達。またオンラインマーケットプレイスのTokopediaには、SoftbankとSequoia Capitalが主導して1億ドルを出資しました。

一方、インドネシアには「bayar di tampat」という代金引換の慣習があり、EC市場がより一層飛躍するために解決すべき課題となっています。

オンライン決済の実現がカギ

この課題にこそ商機はあり、それはベンチャー企業だけでなくフィンテック企業や従来の企業にとっても同様です。現在、インドネシアにおける銀行口座の保有率は、人口の40%にも達していません。それにもかかわらず、インドネシアで最も人気のあるブランド50社のうち24%を銀行が占めており、その売上総額は280億ドルに上ります。金融サービス業にとって大きなビジネスチャンスがあるということですが、のんびりしていては出し抜かれてしまいます。

市場の創世期には常に、通信事業者が破壊的イノベーションを起こしてきました。EC市場でも同様に、金融サービス分野に革新をもたらしています。銀行口座を持たない人には利用しにくかった送金サービスを中心にモバイルマネーサービスの提供を開始し、最終的には総合モバイルバンキングサービスの展開を目指しているのです。

高級品は実店舗で購入

インターネットが急速に普及しEC市場も急成長するなか、高級品の分野ではいまだに店舗販売が小売チャネルの中心となっています。普段使いの衣類や靴、化粧品や日用品をオンラインで購入する習慣は都市部で広がりつつあるものの、高級品をオンラインショップで購入することには依然として抵抗があるようです。

BlackBerry Messengerアプリ人気は健在

インドネシアは、メッセンジャーやチャットアプリが非常にポピュラーな国で、スマートフォンには平均4.2個のメッセンジャーアプリがインストールされています。インドネシアのモバイルユーザーのうち、メッセンジャーを1日複数回利用する人は97%、SMS、ソーシャルネットワーク、音声通話、メールよりもメッセンジャーを主なコミュニケーション手段として活用している人は39%に達し、毎日の生活に欠かせないものとなっています。

チャットアプリではBlackBerry Messenger(BBM)が高い人気を保ち、アクティブユーザー数はひと月あたり5,500万人と圧倒的なシェアを誇ります。デバイスとしてのシェアは激減したものの、友だちグループとのつながりを築いたBBMを使い続ける人が根強い人気を支えているのです。また、セキュアなエコシステムが信頼を集め、若い世代だけでなく企業ユーザーにもBBMは使われています。

振り返ればインドネシアとBlackBerryの蜜月の歴史は長く、2011年に同社が発表した機種BlackBerry Bellagioは、世界に先駆けてインドネシアで発売されました。同社はこのとき、クレジットカード払いによる購入に限り、先着1,000人に半額で販売するキャンペーンを展開。キャンペーン開始前から購入希望者が殺到し、文字どおりのパニック状態となりました。

ソーシャルと短編動画でリーチ

インドネシアではソーシャルメディアキャンペーンの効果が高く、Facebook、YouTube、Twitterといったプラットフォームがしのぎを削っています。たとえばFacebookはCreative Acceleratorプログラムを開始し、インドネシアのような新興国の企業が市場に最適化した広告キャンペーンを展開できるよう支援しています。

2014年末には、大手メッセンジャーアプリのLINEがインドネシア市場におけるマーケティング活動を本格化しました。インドネシアの有名俳優を起用した10分間のミニドラマを公開したところ、口コミで広まり500万再生を達成。LINEは一気に有名企業の仲間入りを果たしたのです。 

LINEの成功は、インドネシア向けマーケティングにおける動画の重要性を裏付けたと言えます。ただし、10分間の動画はインドネシアでは異例とも言えるもので、通常はデータ転送コストの点から再生時間の長い動画は好まれません。動画の長さは10~15秒にとどめ、さらに動画の冒頭でメッセージを確実に伝えることをお勧めします。

ローカリゼーションで深く入り込む

McKinseyの調査では、インドネシアの人はブランドにこだわる一方で、そのブランドがどこのものかにはあまり関心がないことが明らかになっています。たとえば、消費者の60%が国産ブランドを選ぶと答えながら、Nestleが海外企業であることを知りませんでした。同社の徹底したローカリゼーション戦略により、インドネシアの人はNestleを国産ブランドだと認識していたのです。優れたローカリゼーションにはこれだけのチカラがあるという証しにほかなりません。

ほかにも、たとえばLINEがローカライズしたLINEスタンプは、今やインドネシアでひとつの事業として成り立つまでになり、ヒットしたシリーズにもなると、その販売数は1日2,000万ダウンロードに上るそうです。 

 

世界中の新興市場と同様に、インドネシアの消費者もかつてないほどの情報を手に、取捨選択を行っています。また、東アジアの市場に共通する特徴として、自国を含む周辺地域で開発されたアプリがより好まれる傾向があります。外国のブランドがまったく見向きもされない、あるいは受け入れてもらえないということではないものの、この国の文化と市場をどれだけ深く理解できているかにかかってくることは間違いありません。

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[編集メモ:この記事は、2016年11月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。ヴィジャヤラクシュミ・へグデよる元の記事はこちらからご覧いただけます。] [編集: MLS] [o/o-i]

 

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