残念なおしらせ――TMが劣化する5つの要因
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残念なおしらせ――TMが劣化する5つの要因

残念なおしらせ――TMが劣化する5つの要因

translation memory

コストの削減、生産性の向上、ブランドイメージの統一など、翻訳メモリ(TM)にはすばらしい利点があります。しかし、TMも万能ではありません。どれだけしっかりメンテナンスを行っても、TMの品質は時とともに下がっていきます。とはいえ、悲観することも、脱TMを考える必要もありません。TMの品質が低下するのは、いたって自然なことなのですから。

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大切なのは、TMが劣化するさまざまな要因を把握しておくこと。そして、TMにも「賞味期限」があり、適切なタイミングで見直し・入れ替えが必要なことを理解することです。

 

1. 言語の移り変わり

資産というものは、時間の経過とともに価値が減少していきます。TMという資産もまた、経年劣化を避けられません。TMの品質が落ちていくペースは業界や言語によって異なり、たとえばイノベーションがひんぱんに起こる業界では次々と新しい言葉が生まれます。また、言語そのものも、ほかの言語や文化との間で情報がやりとりされ、新しいテクノロジーと出会うなかで、さまざまな形で変化していきます。こうした変化の影響はまず用語集に、やがてTMにも現れるのです

 

2. 製品ラインの変更

新しい製品やサービスが発表され、既存製品の取り扱いがなくなることがあります。また、新製品にまつわるコンテンツは、既存製品のものと重なるところもあれば、内容が大幅に変わることもあるでしょう。コンテンツの再利用があまり見込めない場合は、新製品のためのTMを別に用意する方が理にかなっています

 

3. ターゲット層の変化

自社製品のターゲット層が若い世代の場合、翻訳を今どきのカジュアルなスタイルに合わせていくことがあります。ターゲットの年齢層が上がり、大人向けの丁寧なスタイルが求められるようになると、翻訳のスタイルもこのターゲット層に合わせたものにしていく必要があります

 

4. 用語や書式のゆれ

長い間にさまざまな翻訳者がかかわるうちに、1つの原文に対して複数の訳文が登録され、TMの整合性が損なわれていきます。しかし、問題は翻訳でのみ生じるわけではありません。たとえば1つの製品について、社内の各部署がそれぞれに異なる名前で呼んでいるとしたら、その訳語も各言語でばらつくことになり、TMの信頼性も損なわれてしまいます。つまり、原文の品質が直接訳文の品質、さらにはTMの品質に大きな影響を及ぼすということです。

表記や書式のゆれも、TMの価値を下げる要因になります。大文字と小文字の違い、スペースやタグの有無など、細かい違いがセグメントのマッチ率(再利用率)に影響を及ぼします

 

5. 手入れの手抜き

TMは、植物と同じと心得ましょう。水をやり、栄養を与え、余計な葉を取り除き、愛情をたっぷり注ぐことで健やかに育ちます。手をかけた分だけ、TMも健やかな状態を保てるのです。1つのTMに過去5年分のプロジェクトをただ追加して巨大化させていくだけでは、しっかりとメンテナンスできているとはいえません。プロジェクト1件ごとに含まれるエラーは小さくとも、積み重なれば手の付けられない大きな問題へと膨れ上がります。

コンテンツタイプ、ロケール、対象ユーザーが異なるコンテンツを1つのTMにまとめることも避けましょう。それぞれの文脈に適した意味のある訳を当てることができなくなる原因となります。

 

ご紹介した5つの要因のうち、最後の2つについては「用語集を作成し、順守するしくみを作って訳語の統一に努める」、「TMを種類や対象ごとに分類し、メンテナンスするためのプロセスを確立する」といった有効な対策があります。一方、最初に挙げた3つは回避しようがないものです。時間や状況、条件の変化に対応するには、劣化の程度にもとづいてTMの中身にペナルティを設定する(マッチ率を調整し、より適切な既存訳を再利用できるようにする)という方法もあります。ただし、一定以上の期間を経て大きく育ちすぎたTMについては、更新やメンテナンスの手間をかけるよりも新たに作成した方が合理的なこともあるでしょう

 

[ヴィジャヤラクシュミ・へグデ による原文へ] [編集: MLS] [o/o-i]

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