Netflixに学ぶグローバリゼーション成功の秘訣
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Netflixに学ぶグローバリゼーション成功の秘訣

Netflixに学ぶグローバリゼーション成功の秘訣

The Netflix Effect: Insights for Globalization Managers

2016年初頭から大胆なグローバル展開に乗り出し、世間の注目を集めたNetflix。もちろん、ローカリゼーション業界でも大きな話題となりました。より早く、より安く、より多くを求められるのはどの企業でも同じですが、「コンテンツを130か国に同時リリースする」というのは、めったにないスケール感です。このような規模のプログラムをどのようにして成し遂げたのか、NetflixグローバリゼーションチームのKatell Jentreau氏にお話をうかがいました。

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リサーチに始まり、リサーチに終わる

Netflixの大規模リリース成功のカギは、ターゲット市場のリサーチです。市場に合わせて展開する言語、イメージ、コンテンツを決めるにあたり、十分な調査を行いました。「文化が違えば求められるものも変わるのは、言わずもがなです」と、Jentreau氏は言います。

130の国でサービスを展開するといっても、130の言語にローカライズする必要があるとは限りません。たとえば、ロシア語へのローカリゼーションが行われていなくても、Netflixはロシアでサービスを提供しています。ユーザーは世界中のどこにいても、現在利用可能な23言語の中からユーザーインターフェイス用の言語を選べるのです。こうした市場のニーズに応えられるかどうかが重要ということですね。

国際化とテスティングが成否を分ける

国際化とは、コードや機能に変更を加えることなく別の言語や地域向けに適合できるようにするソフトウェア設計の工程です。Netflixは、この国際化を正しく行っている稀有な例であるといえます。たとえば、新しい言語のオンスクリーンキーボードの設計では、その言語のユーザーにとっての使いやすさをいちばんに考え、担当チームが検討を重ねます。そのうえでリンギストと協力してテストを実施し、フィードバックを集めて、リリースに不具合がないかどうかを確認しています。

オートメーションの導入は慎重に

Netflixではワークフローを自動化して、ファイルハンドリングの手間を減らしました。さらに、自社開発のツールを個々のプロセスに合わせてカスタマイズし、翻訳者、プロジェクトマネージャー、QCチームが使う各種ツールと連携させています。これにより、1つのシステムでコラボレーションが完結します。また、クリエイティブなコンテンツの翻訳には欠かせない、作業途中でコンテキストを確認できる機能も、このツールセットの大きな特長です。

ところで、これほどの規模でリリースされるコンテンツを大量に翻訳するとなれば、機械翻訳(MT)を導入しているのでは?と思われるかもしれません。しかし、Jentreau氏によると、MTはまだ試験段階にあり、ヘルプコンテンツの翻訳や翻訳者の評価ツールとしての利用を検討しているということです(微妙なニュアンスや感情を伝えるための字幕翻訳に使えるレベルに、MTは達していないという判断)。時間をかけて研究を進めることで、MTを適切に取り入れて世界規模のプログラムでも最大の効果を発揮できるようになるかもしれません。

役割ではなく、専門性に応じた割り振りを

Netflixは、この大規模なローカリゼーションを、言語リソースのマンパワーでこなしました。ここでユニークかつ効果的な方法として注目されるのが、ハイブリッド型のリソースモデルです。このモデルでは、社内の言語スペシャリストがチームとプロジェクトを管理し、ボリュームやコンテンツの種類に応じて最適なフリーランスやベンダーを選んで作業を依頼します。

スペシャリストがいない言語については、プロジェクト管理込みでベンダーに依頼します。社内でのプログラム管理、専門性の高いフリーランスやベンダーへのアウトソーシング、プロジェクト管理のアウトソーシングを適宜組み合わせることで、それぞれの強みを最大限に活かすことができるのです。

字幕は口ほどにものを言う

ローカリゼーションが必要なNetflixのコンテンツの大半は、映画やドラマの字幕と解説です。こうしたコンテンツの翻訳には創造性が求められ、微妙なニュアンスや文化的・地域的背景を考慮する必要があるため、人の手による翻訳が欠かせません。ただ別の言語に置き換えればよいわけではない字幕翻訳は、きわめて専門性の高い分野です。

Globally Speakingのモデレーターのひとり、Renato Beninatto氏は、次のように指摘しています。「通常のテキスト翻訳と違い、長さやタイミングにも配慮し、簡潔でありながら伝えるべきことをもらさず伝えなければならないので、難しいのです」。音声・動画コンテンツのローカリゼーションに対する関心と需要は高まる一方で、クリエイティブなコンテンツを翻訳できるリソースが引く手数多な状況は、今後も続くでしょう。

データとフィードバックでさらに磨く

130か国に向けてリリースした後も、グローバリゼーションチームに休息が訪れることはありません。Jentreau氏の説明によればこうです。「商品からは、ユーザーがコンテンツをどう利用しているか、何を視聴しているかなど、たくさんのデータが集まってきます。商品を通じて得られないフィードバック、たとえばどんな商品を期待しているかなどは、ユーザーから直接聞き取りを行います」。

新しい機能の開発、不具合の修正、ユーザーからのフィードバックに基づく機能強化などを通じて、グローバルサービスを改善していく。それが、高い顧客満足度、新規顧客の獲得につながり、なにより、Netflixが得意とする「市場に合わせたカスタマイズ」が高い水準で維持されることになります。

 

皆さんの製品やサービスが、これほどの規模で今すぐグローバル展開するわけではないかもしれませんが、Netflixの市場拡大の成功事例から学べることはたくさんあります。Globally Speakingのポッドキャストエピソード(英語)をお聴きいただけば、さらに深くまでNetflixの秘密を知ることができるでしょう。


 [編集メモ:この記事は、2017年7月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。ジル・ポラニシア による元の記事はこちらからご覧いただけます。] [編集: MLS] [o-i]

 

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