コンテンツに応じたローカリゼーション手法の選び方
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コンテンツに応じたローカリゼーション手法の選び方

コンテンツに応じたローカリゼーション手法の選び方

Translation Approach by Content Type

企業が作成するコンテンツは、ウェブ、技術文書、ブログ、ナレッジベース記事やFAQ、マーケティング資料、ソフトウェアUI、リーガル文書など、多岐にわたります。お客様の投稿やレビューといったユーザー生成コンテンツ(UGC)も含めると、あっという間に把握しきれないほどのボリュームに膨れ上がります。

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コストも時間もかかるため、すべてを翻訳することは難しいでしょう。それでも、ターゲット市場にはローカライズされたコンテンツへのニーズがあり、売上の拡大、ブランド認知の向上、ロイヤリティ醸成のためにも、できるだけ多くのコンテンツをローカライズしたいところです。

翻訳の手法としてはいくつかありますが、まず検討すべきは、対象となるコンテンツの種類に適したプロセスは何かということ。コンテンツにはそれぞれに異なる特性や目的があり、それぞれにふさわしいアプローチも異なります。

代表的なローカリゼーションの手法

まず、よく用いられる手法について整理してみましょう。

1.

人間による翻訳

  ソース言語とターゲット言語のバイリンガルが翻訳します。翻訳支援(CAT)ツールを使うことも多く、原則は、原文の1文を訳文でも1文として正確に再現します。

2.

SME(Subject Matter Expert:特定分野の専門家)による翻訳

  専門性の高い内容を、その分野に精通した人が翻訳します。翻訳者自身がSMEであるパターンと、翻訳の後にSMEがレビューを行うパターンがあります。

3.

マーケティングローカリゼーション

  マーケティングコンテンツを専門とする翻訳者が、ターゲット市場に合わせて翻訳を行います。正確さに加え、その言語の文章として自然に読めることを重視します。画像なども含めたローカライズが必要になることが多いです。(英語参照記事はこちら

4.

トランスクリエーション

  マーケティングコンテンツを専門とする翻訳者が、ブランド性の高いコンテンツを、ターゲット市場に合わせて部分的または全面的に作り変えます。原文コンテンツの意図やメッセージは正しく伝えつつ、一字一句を置き換えることはしません(こちらも参照)。通常の翻訳に比べて手間も時間もかかりますが、これでなければ翻訳する意味のないコンテンツも存在します。

5.

機械翻訳(MT)

  訓練済みのMTエンジンで翻訳を自動的に生成します。人間による翻訳に比べて、生産性、コスト効率ともに高い手法ですが、品質もそれ相応なものになります。

6.

機械翻訳とポストエディット(MTPE)

  訓練済みのMTエンジンで翻訳を自動的に生成し、プロのエディターが編集して、あらかじめ合意された品質レベル(必ずしも人間による翻訳と同等ではない)に引き上げます。
7番目は、ターゲット市場向けにカスタマイズしたコンテンツを作成する理想的な方法ですが、翻訳ではありません。
   
  7番目は、ターゲット市場向けにカスタマイズしたコンテンツを作成する理想的な方法ですが、翻訳ではありません。

7.

コピーライティング

  ターゲット市場の国で、コンテンツをゼロから作ります。翻訳者ではなく、ターゲット市場の言語で広告コピーライティングのスキルを持つクリエイターが担当します。広告コピーは高度な独創性が求められるプロセスであり、何度もやり直ししながら作り込んでいくため、時間がかかります(トランスクリエーションとコピーライティングの違いについては、こちらのブログ記事をご覧ください)。
   

コンテンツとプロセスの対応付け

次に、対象となるコンテンツがどのようなものかを、よく見てみましょう。技術的な内容か、クリエイティブなものか。多くの人の目に触れるものか、めったに利用されないものか。旬のトピックを扱うものか、長期にわたり参照されるものか。こういった特性を踏まえ、また、LSPとも相談しながら、コンテンツに適したアプローチを検討します。

コンテンツの種類

特性

考えられる手法

技術資料(ユーザーズガイド、保守マニュアルなど)

必要な情報をわかりやすい言葉で伝えるもの。クリエイティブであることや、読み手の興味をそそる表現であることは求められない。(改版や、類似の手順の説明などで)同じ文が繰り返し使用されることが多い。

正確であることが重要なら、人間による翻訳が適切。ただし、ボリュームが大きい場合は、MTPEも検討の余地あり。

マーケティングコンテンツ

多くの人の目に触れることを目的としたコンテンツ。ブランド性が高く、「読ませる」文章であることが求められる。

トランスクリエーションが最適。特定の地域に特化した内容であることが求められるなら、コピーライティングが適切な場合も。

ウェブコンテンツ

マーケティングコンテンツではあるが、内容ごとにさまざまな目的があり、ひと括りにはできない。トップページやナビゲーションなどは「見つけてもらえる」ことが重要で、全体として高い独創性とブランド性が求められる。

マーケティングローカリゼーションが一般的。タグラインなどの特に目立たせたい部分については、トランスクリエーションも検討。

ソフトウェア、UI

ソフトウェアは製品そのものであり、UIはユーザーエクスペリエンスを大きく左右する。ブランド性や独創性よりも、正しい使用を促すための正確さが求められる。

人間による翻訳が一般的。ソフトウェア翻訳の専門知識や経験を持つ翻訳者が適している。

ユーザー生成コンテンツ(レビューなど)

一般の人が書く文章で、完成度は必ずしも高くない。即時性が命のコンテンツであり、企業ブランドが反映される必要もない。

MTが有力な候補となる。多くの人の目にとまることが想定されるコンテンツであれば、PEを適宜組み合わせる。

FAQ、ナレッジベース

よく利用されるコンテンツながら、ブランド性や独創性は必要ない。情報をわかりやすく簡潔に伝えるための文章。

ボリュームが大きい場合はMT検討も視野に入れる。PEが必要かどうかは内容次第。特に重要度の高いトピックについては、人間による翻訳MTPEを検討。

リーガル文書

ブランド性や独創性を必要としないが、厳密な正確さが求められる。

ほとんどの場合、人間による翻訳が必要。法務翻訳を専門とする翻訳者が適している。

このリストは、あくまで参考程度にお使いください。たとえば、条件によってはマーケティングコンテンツにもMTを使えることがあるかもしれません。どの手法を選ぶかは、プロジェクトの要件(ターゲット市場や言語、使用するツール、納期、求められる品質など)を踏まえて的確に判断する必要があります。

最善のアプローチを選択できれば、可能な限り多くのコンテンツを適切な品質かつ適正な価格でローカライズできるでしょう。大切なのは、いつまでに何をどのようにしたいのか、LSPと相談しながら固有のニーズに応じてプロセスをカスタマイズすることです。


 [編集メモ:この記事は、2017年5月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。リー・デンズマー による元の記事はこちらからご覧いただけます。] [編集: MLS] [o/i]

 

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