翻訳を前提にしたコンテンツ書きおこし時に必要な2つのこと
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翻訳を前提にしたコンテンツ書きおこし時に必要な2つのこと

翻訳を前提にしたコンテンツ書きおこし時に必要な2つのこと

せっかく翻訳したコンテンツの意図が、原文通りに伝わらなかったことはありませんか。このような場合、翻訳以外の工程を疑ってみてもいいかもしれません。翻訳は、原文(ソーステキスト)の内容を別の言語で再現する作業であり、ソースに問題があればそれを解決することはできません。ただし、このようなソース起因の問題にも、もちろん解決策はあります。コンテンツを書きおこす時に、読者が世界中の人々であることを書き手が意識すればよいのです。制作当初に翻訳を予定していなかったケースもあるかもしれませんね。そんなときは、書き手(コンテンツライター)と翻訳者の間での協力が必須になります。

今の時代、国内向けに開発した製品をどこかで国外市場に展開することになるかもしれません。今制作しているコンテンツも、世界市場に発信されるかもしれないのです。そんな場合に備えて、コンテンツライター(およびライターに指示出しするマーケティング担当者)に向けたアドバイスを考えてみました。

凝った文言はキャッチコピーにとどめ、必要に応じて注釈を

キャッチコピーやキャッチフレーズにはくだけた表現が使われることが多く、その上短いフレーズに多くの意味が込められていて、翻訳者泣かせです。わずか数語で書かれた短文の意味を、他の言語でも同じように数語で伝えるのは至難の業です。

NIKEのキャンペーンスローガン、「Just Do It」を例に見てみましょう。一見、この翻訳のどこが難しいのかと思われるかもしれません。確かに語数はたったの3語。内容は、行動や決意を呼びかけているだけというシンプルさです。ところが、翻訳があまりにも難航したことから、結局このコピーは英語のまま使われることになりました。

NIKEが中国市場向けに作成したこちらの動画をご覧ください。画面に次々と表示される文のひとつひとつに、「Just Do It」につながるメッセージが込められていることが読み取れるでしょうか。そう、この「Just Do It」は、文字から読み取れる以上の意図を表すスローガンだったのです。「栄光のためではない」(You don’t have to do it to for the glory)、「有名になるためでもない」(You don’t have to do it to be famous)など、いくつものメッセージを総括した締めの言葉が、最後のこの“All we said was, JUST DO IT.”なのです(あえて訳せば、「NIKEのメッセージは今も昔もただ一つ・・・とにかくやればいい。」ですが、英語の方がずっとかっこいいと思いませんか?)

考えてみれば、これがキャッチコピーの本質なのではないでしょうか。どの言語に訳しても同じ意味になる普通の言葉で書かれた特徴のないフレーズなど、使えるわけがありません。そんなキャッチコピーでは、顧客の共感は得られません。結果、すべての言語で失敗に終わるのではないでしょうか。

そうは言っても、企業で用意するコンテンツは膨大で、各国市場に合わせてすべて一から作り直すことは無理な話。ウェブページを例にとると、トップページには凝った文言のキャッチコピーを載せますが、それ以外の文章もあり、ユーザーガイドや動画の字幕、製品のインターフェイス、製品やサーピスの情報など、数え上げればきりがありません。どのコンテンツのライティングを手がけるにしても、文化的背景がわからなければ理解できない表現は絶対に避けるべきです。

LinkedInの利用者なら、「You’re all caught up!(文字通りの意味は、「あなたは完全に巻き込まれています」)」という通知を受けとったことがおありでしょう。一体何に巻き込まれたの? どうして? 知らないうちに? と驚き、各種のお知らせを自分がすべてチェックした(catch up with)という意味だと知って、ほっとされたのではないでしょうか。

もちろん、今書いている文章が他の文化圏の顧客に理解できるかどうかを確認することは容易ではありません。そこで、翻訳者やローカライズのプロに最初から関わってもらうことが必要になります。以前、インドのeラーニング制作会社で作られたインストラクションマニュアルで、モチーフとして蚊が使われたことがありました。しかし、蚊の存在を知らない国や蚊がほとんどいない国ではこのモチーフは意味をなさず、マニュアル一冊がそっくり使えなくなったのです。

口語表現や地元のスラングをどうしても使わざるを得ない場合は、翻訳者向けの注釈を付けましょう。少なくとも、翻訳後に意味をなさない文になることは避けられるでしょう。ユーモアも色づけに使いたくなると思いますが、同じように注釈を付けることをお勧めします。

Plain Language(わかりやすい文章表現)で、翻訳者に優しく

翻訳を前提としたライティングには、Plain Language(わかりやすい文章表現)のルールがすべてそのまま当てはまります。翻訳者の仕事を楽にするだけでなく、世界中の人にコンテンツの内容を正しく理解してもらうこと、つまり読んだ人の頭を悩ませないコンテンツを作ることが一番の目的です。

Plain Languageのルールでは、動作の主体が明確になるよう能動態を用いることが求められます。能動態にして文を短くすれば、翻訳者も内容を正しく読み取って簡潔な文に訳すことができ、ドイツ語のように1文が長くなる言語にも効果的です。英語をドイツ語に訳すとどうしても3割程度長くなるので、スマホアプリのように画面のスペースが限られる場合、このルールは絶対です。

原文をPlain Languageのルールに沿って作成すれば、曖昧さのないわかりやすいコンテンツができあがります。翻訳者から説明を求められる回数も減り、結果として翻訳後のコンテンツもわかりやすくなります。

 

今回の記事では翻訳しやすいコピーの書き方について、大切なヒントを2つ取り上げましたが、マーケティングにはグローバルなコンテンツ戦略も必要です。戦略を持つことで、コンテンツ全体の枠組みができ、その中で一貫した制作や翻訳ができるようになります。ぜひご検討ください。


編集メモ:この記事は、2017年1月に投稿した内容に加筆・訂正したものです。訂正したものです。ヴィジャヤラクシュミ・へグデによる元の記事はこちらからご覧いただけます

 

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