中国ソーシャルメディアのユニークポイント
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中国ソーシャルメディアのユニークポイント

中国ソーシャルメディアのユニークポイント

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ほんの少し前まで、中国でソーシャルメディアといえばSina Weibo(新浪微博)でした。今もメジャープレイヤーであることに変わりはありませんが、近年はモバイルメッセンジャーアプリのWeChatが勢いを増してきています。まさに群雄割拠といえるなか、マーケターとしては最新プラットフォームをチェックしておけば十分、というわけにはいかなくなっています。競合他社や自社のターゲットユーザーが、どのプラットフォームをどのように活用しているのかを押さえておかなければなりません。

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ソーシャルメディアマーケターなら、中国とその他の国におけるソーシャルメディアには多くの共通点と同じだけの相違点があることに、すぐに気づくことでしょう。まず思い浮かぶのは、市場規模の大きさ(何もかもが桁外れのスケールであるともいえます)と検閲制度があるということ。ここでは、そうした中国ならではの特徴と、中国でソーシャルメディアキャンペーンを実施するときに注意すべきことを取り上げます。

1. ソーシャルのトレンドを先導

メッセンジャーサービスのユーザー数をじわじわと増やしているアメリカに対し、中国ではWeChatやQQの人気が爆発的に広まり、アプリ市場を席巻しています。中国の主要ソーシャルネットワーク企業はすでにメッセンジャーアプリから大きな収益を得ているか、または近々本格的な参入を予定しています。欧米のメッセンジャーアプリが中国と同等のリーチと収益化を実現するには、まだいくらかの時間がかかる見込みです。

プラットフォーム開発のペースも速く、中国におけるトレンドが欧米の同様のプラットフォームの方向性を決めることもあります。Twitterが画像、動画、リンクを文字数制限から除外することを検討していたころ、Weiboではその数か月も前から制限を外していました。つまり、Twitterが追随するかたちになったのです。後にWeiboは140文字の制限そのものもなくしています(プレビュー画面のみ140文字まで表示)。Twitterがこれに続くのか、果たしてそれがベストな判断なのかについては、今後の成り行きを見守りたいところです。

2. ビジネスはWeChatを避けて通れない

予算や人手の都合でソーシャルメディアプラットフォームを1つしか選べないのであれば、迷うことなくWeChatを選びましょう。6億5,000万ユーザーを抱えるWeChatは、間違いなく中国インターネットの覇者でありメッセージングアプリのトレンドセッターでもあります。

WeChatのユーザーは、ソーシャルショッピングの利用率もきわめて高いという特徴があります(China Internet Watch調査)。映画チケットの購入からフライトの予約、送金手続きにいたるまで、日常生活のさまざまなことがWeChatでできてしまうことを考えれば、当然ともいえるでしょう。企業はWeChat上にアプリやミニサイトを作り、ユーザーが友だちのようにこれらを連絡先に追加できるようにすることができます。WeChatでは、ユーザーにメッセージを送りたい回数に応じて選べる、サービスアカウントとサブスクリプションアカウントが用意されています。

サービスアカウントでは、1か月に4回までユーザーにメッセージを送信できます。ユーザーがアプリを使うと、その後48時間は無制限でメッセージを送信できます。一方、サブスクリプションアカウントでは、毎日1回ユーザーにメッセージを送信できますが、提供される機能はサービスアカウントよりも限られています。

企業はソーシャルメディア環境においてユーザーのいちばん近くにあるために、さまざまな形でWeChatを活用しています。WeChatをうまく使いこなすことが、ユーザーのエンゲージメント率の向上に直結するからにほかなりません。AdMasterによれば、消費者の88.5%が、WeChatのMomentsに表示される広告になんらかの反応を示しています。2014年のFIFAワールドカップブラジル大会中、Durexは「Shoot for a miracle」というHTML5ゲームキャンペーンをWeChatで実施しました。50万人が利用し、1回あたりの平均訪問時間は179秒、1ユーザーあたりのゲームプレイ回数は平均3.85回でした。

スターバックスはWeChatアプリを使って豊富な商品ラインアップを紹介しているほか、中国南方航空や招商銀行など、多くの企業がWeChatアカウントを通じてカスタマーサービスを提供しています。

アプリ事業が主であるEvernoteのような企業では、WeChatから直接アプリを利用できるよう連携を進めています。こうすることで、WeChatのエクスペリエンスを損なうことなく自社アプリを長く使ってもらうことが可能になります。中国のほとんどのユーザーが1週間ほどでアプリを使わなくなってしまうなか、これは非常に賢いやり方といえるでしょう。ネイティブアプリにこだわらず、WeChatとの連携に力を注ぐのが合理的です。

3. 企業メッセージとの親和性が高い

欧米では、メッセンジャーアプリの連絡先に企業を追加するなど考えられないというユーザーがほとんどですが、中国では事情が異なります。QRコードを読み取る手間がかかったとしても、気に入った製品やサービスをWeChatアカウントに追加するユーザーは少なくありません。QRコードはオフラインのユーザーをオンラインへとつなげる最良の方法であり、中国ではこれなしにはビジネスは成り立ちません。

中国の人は、ソーシャルメディア内で表示される広告も特に嫌ってはいないようです。WPPのデータ投資管理部門であるカンターによれば、ネットユーザーの30%程度がソーシャルメディア広告を好意的に受け入れています。

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中国でのソーシャルメディア広告に対する印象
出典: Kantar Social Media Impact Report 2016

また、消費者は、従来のメディアよりもソーシャルメディアを信頼しています。公式の情報よりも口コミのおすすめの方により重きを置くため、企業はこれを上手く利用しない手はないでしょう。

4. ゲームがなければ始まらない

中国では、なにはなくともゲームです。Wikipediaによれば、中国のオンライン人口の3分の2は携帯デバイスでゲームをプレイします。さらに、ソーシャルメディアユーザーの大半が30歳未満という事実を知れば、ソーシャルゲームがマストな理由もうなずけるでしょう。

QQとWeChatを提供する騰訊(テンセント)は、ゲームなどの付加価値サービスを提供することで収益を急成長させました。中国版Facebookともいわれる人人網(レンレン)は、ゲームポータルへと転身しようとしています。大人気の掲示板サービス、百度贴吧(バイドゥティエバ)もオンラインゲームの話でにぎわっており、World of Warcraftバー(フォーラム)には600万のユーザーがいます。

つまり、もともとゲーム関連の企業であれ、そうではない企業であれ、ゲームを組み込むことで成功率の高いマーケティングキャンペーンを実施できるということです。ユーザーは自分の意思でゲームをプレイするため、自らそのブランドとつながっているという気持ちになり、エンゲージメントを強めていきます。ここまでゲームが熱い国だからこそ、ソーシャルでのコミュニケーションのこれ以上ないきっかけとなります。

5. やはり、ものをいうのはビッグデータ

中国企業のCMOの91%が、「すべてのネットワークとデータプラットフォームをつなげることは不可避である」、89%が「テクノロジーを活かせなければマーケティングは成り立たない」と考えています。巨大な中国ソーシャルメディアのすべてを把握するには、データサイエンスの力を借りなければなりません。

それだけでなく、中国内のeコマースの多くが、ソーシャルメディアサイトやメッセンジャーアプリなど、第三者のプラットフォーム上で行われています。商品レビュー、支払金額、特定の日に購入された商品数など、取引記録に関する無数のデータポイントを取得するには、ビッグデータ分析が必要です。その意味では、ほかのどの国よりもビッグデータの活用が必須なのは中国であるといえるでしょう。

6. あたりさわりのない話題が好まれる

Sina Weiboではジョークや動画がよく投稿されており、今世の中で起きていることをつぶやくTwitterとは対照的です。ほかのSNSでも、エモーショナルな投稿やエンタメ関連の投稿へのエンゲージメントが高くなっています。エモーショナル、つまり、恋愛相談などの気持ちのやりとりが多くを占めており、エンタメの話題の大半はゲームが占めています。つまり、比較的あたりさわりのない軽めのトピックが、社会や政治に関するトピックよりも好まれる傾向があります。

 

競争の激しい中国ソーシャルメディアにおいて足跡を残すのは簡単ではありません。プラットフォームもルールも異なる国や地域で成功したやり方をそのまま持ちこんでも、上手くはいきません。それでも、多くの欧米企業が熱心に耳を傾け、ユーザーの求めるものを理解し、適切な場所に適切なタイミングで提供することで成功を収めています。その点においては、中国もほかの国も変わりはありません。

 

[ヴィジャヤラクシュミ・へグデ による原文へ] [編集: MLS] [o/o-i]

 

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