ウェブコンテンツ管理の革新的製品、Tridionの25年

Arjen van den Akker 2021年9月2日 読了時間:約5分
最初のウェブサイトが公開されたのが、わずか30年前だったというのは驚きです。科学者が世界中の研究者や大学と情報交換できるように、英国の科学者Tim Berners-Lee氏が欧州原子核研究機構(CERN)のウェブサイトを構築したのが始まりでした。当時、ワールド・ワイド・ウェブ(www)が私たちの生活にどのような影響をもたらすか想像できた人はいなかったでしょう。1991年に存在したウェブサイトはわずか10サイトです。1996年には200万サイトに増加し、現在では約19億ものウェブサイトが存在すると推定されています。

Tridionの誕生

1996年、Googleが最初の検索エンジンを発表した頃、オランダのソフトウェアエンジニアであり起業家でもあったArjan van Rooijenは、企業とユーザーの距離を近づける方法を模索し、企業がコンテンツや情報をオンラインで共有するためのコンテンツ管理システムであるIPS(Internet Publishing System)を構築しました。そして、オランダの全国紙「de Volkskrant」に招かれ、そのウェブサイトを構築しました。非常に複雑な作業でしたが、このプラットフォームの未来を決定づける仕事となりました。IPSはその後Tridionとして生まれ変わり、イノベーションの最前線を走り続けています。
 
業界をリードするコンテンツ管理プラットフォームの1つとなったTridionは、非常に複雑なコンテンツニーズに対応する製品として世界のトップブランドから信頼されています。Tridionの25周年を記念して、このプラットフォームの業界初の機能やハイライトをご紹介しましょう。

Tridionの10のイノベーション

1. 最優先のセキュリティ
Tridionは、当初から分離型のCMSとして設計されており、複雑で要求の厳しいコンテンツ環境でもハードウェアリソースの最適な使用、柔軟な拡張、高度なセキュリティを実現できるように作られています。サイバーセキュリティが注目されている現在、Tridionはデジタルエクスペリエンスプラットフォームの重要な礎であり続けるでしょう。
 
2. 何百ものウェブサイトを簡単に管理
1997年に考案されたBluePrinting®は、依然としてTridionの中核として位置付けられており、この25年間、これを真似できたCMSベンダーはありませんでした。Tridionは、複数のブランドの何百ものウェブサイトを多言語で管理するという不可能とも思える問題を解決します。リスクを排除しながら持続可能な形でサイトを管理でき、コンテンツや翻訳の再利用、高品質の顧客体験も実現します。
 
3. 動的なコンテンツ配信
Tridionの単一ソースによるパブリッシング機能は、デザインとコンテンツを厳密に分離し、最初からコンテンツのコンポーネント化を行うという手法を取り入れています。20年経過しても、CMSベンダーの多くは、コンテンツに対してページベースのアプローチを採用しています。しかし、タッチポイント全体で適切にパーソナライズされたデジタルエクスペリエンスを実現するには、アトミックコンテンツを最初に配置し、動的なコンテンツ生成を可能にする必要があります。
 
4. 業界屈指の翻訳機能
翻訳の緊密な統合には、常にTridionが欠かせません。SDL(現RWS)による買収後、Tridionはさらに改良が進み、独自の翻訳レビュー機能や翻訳プレビュー機能が搭載されました。ウェブ上で翻訳や編集を行うワークフローが完全に同期および最適化されるため、翻訳メモリが適切に更新されます。また、ウェブチームと翻訳チームの間の引き渡しが容易になります。
 
5. 複数の配信モデル
顧客の間でクラウド導入が加速すると、Tridionは迅速に反応して完全なマイクロサービス型クラウド製品を発売し、サービスとしてのコンテンツ(CaaS)導入モデルを実現しました。また、チームの遠隔化、世界各地への配信エンドポイントの分散化、中国のファイアウォール制限に対応するために、Topology ManagementやDigital Experience Accelerator for Chinaなどの重要な機能を追加しました。
 
6. 独自のエコシステムの構築
主要なマーケティングシステム間の連携は、統合された顧客体験を実現し、バックエンド業務を円滑に行う上で重要です。Tridionの統合フレームワークは、この製品が長年にわたり築き上げてきた相互運用性をベースに構築されています。このフレームワークは、DAM、CRM、ビデオ、MRM、マーケティング自動化、キャンペーン管理、ドキュメント管理、ERP、HR、PIM、企業検索などさまざまなシステムと連携できます。
 
7. ヘッドレスCMSの先駆け
ヘッドレスCMSテクノロジーは5年ほど前から主流になりましたが、TridionはずっとヘッドレスCMSを採用しており、当社にとっては新しいテクノロジーではありません。ヘッドレス配信は、従来のWYSIWYG(見たとおりのものが表示される)方式での編集とともに、多くのマーケティング担当者からニーズがある機能です。
 
8. ウェブコンテンツと構造化コンテンツの融合
今日のウェブユーザーは、単に魅力的なマーケティングコンテンツではなく、それ以上のものを求めています。この点を当初から意識したTridionは、DITAベースの詳細な製品情報とビジネス情報を、魅力的なマーケティングコンテンツと完全に融合して公開できるようにしてきました。これにより、企業はプリセールスからセールス、ポストセールス、サポートにいたるまでエンドツーエンドのカスタマージャーニーを提供できます。
 
9. GraphQLの早期導入
GraphQLの導入には多くのCMSベンダーが関心を寄せ始めています。しかし、Tridionは2018年に他社に先駆けて導入しており、Angular、React、Vue.jsなどの最新のデジタルタッチポイントや配信フレームワークを活用できる環境が整備されています。
 
10. AIによるイノベーションの推進
Tridionの新機能としてセマンティックAIが追加され、訪問者の目的に応じたコンテンツを表示できるようになりました。NLPベースのセマンティックAIの利用によって、コンテンツ制作者はスマートタグを使用して迅速かつ適切にコンテンツを分類できます。また、Tridionのセマンティック検索によって、コンテンツが見つけやすくなり、従業員/パートナー/顧客対応のさまざまなユースケースでもこの検索機能を有効利用できます。
 
Tridionは、CMSテクノロジーのイノベーションを先導し続け、あとに続く他社のために道を切り開いています。25年の実績は、どんな要件があってもあらゆる課題に対応できる製品の実現という形で表れています。当社はこれからも、Tridionがグローバル企業にとって最高の選択肢であり続ける方法を模索していきます。
 
Arjen van den Akker
制作者

Arjen van den Akker

Product Marketing部門Senior Director
Arjen van den Akkerは、コンピュータエンジニアリングとマーケティングの分野で25年以上の経歴を持ち、国際的なB2Bソフトウェアベンダーで業務に従事してきました。2012年にSDL(2020年にRWSによって買収)に入社し、RWSのデジタルエクスペリエンスとコンテンツ管理のソリューションを担当するProduct Marketing部門Senior Directorとして活躍しています。
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